家具の解体と再組み立てを支える埋め込みナットとは?

家具の解体と再組み立てを支える埋め込みナットとは?

引っ越しなど、家具を一度解体して再度組み立てたいとき、うまく解体ができなかった、解体できたけど組み立てられなかった、ということはありませんか? 実は、家具の解体と再組み立てには埋め込みナットと呼ばれる部品が非常に重要な役割を果たしています。

埋め込みナットとは

埋め込みナットは、組立家具の部材を接合する目的として開発され、何度も繰り返して使える部品です。使い方はカンタン。木に下穴を開け、ねじ込むだけでくい込み、しっかりと固定されます。

最近ではねじを必要としない締結方法もありますが、オーソドックスに使われているのは埋め込みナットです。

ちなみに、家具の業界関係者は埋め込みナットのことを鬼目ナット®と呼ぶこともあります。鬼目ナット®はムラコシ精工の登録商標のため、本記事では埋め込みナットの呼称で統一しています。

埋め込みナットの有無による違い

天板に埋め込みナットがあれば、ねじを緩めて解体しても再度組み立てられます。逆に埋め込みナットがないものは、代わりにタッピングネジなどが使われており、一度解体して再度組み立てると、ねじ穴部分がゆるくなり、最悪の場合ねじがしっかりと固定できず空回りしてしまいます。

【埋め込みナットがある家具の取り付けイメージ】

【埋め込みナットがない家具の取り付けイメージ】

また、埋め込みナットがあるかないかでは、ねじの引張り強度が大きく変わります。引張り強度とは、ネジが抜けるまでに何ニュートンまたは何Kgの力に耐えたかを示すものです。

実際には天板の種類やねじの太さ、長さによっても結果が変わってきますが、ここでは&FRELで実際に使っている天板と、同等クラスのねじを使って、埋め込みナットの有無で比較した試験結果をご紹介します。

 種類 埋め込みナット 引張り強度
φ5x16タッピングネジ なし 1100N≒112Kg
M6x13埋め込みナット あり 1500N≒153Kg

埋め込みナットがあると、ない場合に比べて引っ張り強度が1.36倍高いことが分かります。

&FRELのFシリーズの脚においては1本に対して4本のネジが止まっています。ここではわかりやすくこの足を天板に対して90度方向に垂直に引張った時に埋め込みナットありですと612Kgの力に耐えることが出来ますが、埋め込みナット無しですと448Kgまでとなります。実際にはタッピングネジで締結しても448Kgの力に耐えることが出来ますのでテーブルとしての強度は基本的には全く問題ありません。しかしテーブルを長年使用していると脚と天板の締結部分には瞬間的な力がいろいろな方向から加わり、一本のネジに負荷が加わりその部分だけネジが抜けてしまうシーンを思い出す方もいると思います。

またタッピングネジの問題点としてネジを締め付けるときに回しすぎてしまうと空回りしてしまい締結力がなくなってしまうことがあります。お家でDIYなどをする方はご存知かもしれませんが締め込み過ぎて木部が割れたりネジが空回りしてしまうことがあります。

&FRELではそのようなシーンを出来るだけなくすために強度的に安全率の高い締結方法と繰り返しの組立安さを考慮して埋め込みナットを出来るだけ多く採用するよういたしております。

なお、&FRELではすべての天板に埋め込みナットを採用していますので、引っ越しのときにも解体、再組み立てが可能です。

埋め込みナットがない家具でねじが空回りしてしまった時の対処方法

ねじ穴がゆるくなってしまったり、ねじが空回りしてねじ穴が大きく開いてしまった場合には、穴にオガクズを入れた上で瞬間接着剤や木工ボンドを流し込み、穴を一度ふさぐことによって再度ねじ止めできます(注:家具に加工を加える場合は自己責任でお願いします!)。