輪郭のあるデザイン

輪郭のあるデザイン

みなさん、こんにちは。&FRELの杉浦です。日本はGWが始まりましたね。今ではゴールデンウイークという名称がすっかり定着していますが、いつからスタートしてみたか調べてみると、始まりは1948年の祝日法制定からとのこと。終戦からそれほど時間が経過していない時期に、このようなまとまった休日が新たに設定されたことに少し驚きました。

 前回のブログで綴った中国の展示会を訪れた際、深澤直人さん著書「デザインの輪郭」を毎日繰り返し読んでいました。深澤さんは日本を代表するプロダクトデザイナーで、世界中のブランドと多くの優れた製品を生み出してきただけではなく、「withouth thought」や「Super Normal」といった独自の概念を通じてデザイン界に常に影響を与え続けているデザイナーです。

「デザインの輪郭」は私が最も強く影響を受けた本であり、この本に出会うまで自分が漠然と思っていたけれど、うまく言葉にできなかった考えや思いが、深澤さんの言葉を通じて少しづつ自分の中で消化できるようなったと感じられた、私にとってもとても大切な一冊です。

深澤さんはデザインを語る際によく「張り」という表現を用います。「張り」という表現は少し不思議で、かつ奥行きのある日本語表現だと思います。物質的に「張りのある肌」のように使われる一方で、「張りのある人生」といった視覚的ではないものに対しても使われます。近い意味であっても「張り」と「腫れ」ではまた意味が異なってきます。

深澤さんは「張りは輪郭の力」と定義しています。さらに「ものとその周りにある環境との関係がそのものの輪郭を決めていく」とし、「輪郭を見出すのがデザイナーの仕事」と述べています。

 私がこの著書の中で最も強く共感し、感銘を受けた言葉です。

中国の展示会で、もうみたくなくなる程の量の家具を見ながら感じていたことは、確かにモノとして、カタチとしては製品となっているけれど、「張り」や「輪郭」が見える製品は少ないこと。そして自身がなんとなく「張り」や「輪郭」が見えている製品はどんなに疲れていてもしっかりと目に入ってくることを感じました。

多かれ少なかれ、デザインの初期段階では言葉は違えど「張り」のようなもの意識する感覚はデザイナーの意識にはあると思います。ですが、それを最終製品まで維持し続けることは難しく、それを維持するためにはデザイナーはもちろん、メーカーの意識や技術力も大きいのだと思います。

「張り」や「輪郭」は家具だけでなく、どんなものの中にも見出すことができると思います。GWは少し視点を変えてみて、張りと輪郭のあるものを見つけてみてはいかがでしょうか?