Stool 60 90周年
みなさん、こんにちは。&FRELの杉浦です。気づけば6月ということで2023年も半分終わってしまったということですね。時の流れは速いです。
時の流れの速さ、、、ということで言えば世界中で未だに売れ続け、愛されてているアルヴァ・アアルトのStool60はなんと今年でデザインから90年経ったということです。製造当初よりつくり方に多少変化はありましたが、デザインはそのままに、90年を経た現在も第一線で大活躍、むしろ現代の建築やインテリアの中で常に新たな存在感や印象を与えてくれているように感じます。
新しい素材や色の組み合わせなども度々メーカーから発売されて、90年という月日を全く感じさせませんね。「作者は死すとも、作品は永遠」ということでしょうか。
世界中で愛されているStool60などを販売しているArtek社ですが、直営店となるとヘルシンキと東京にしかありません。私もまだ行ったことが無いのでぜひ近々行ってみたいと思います。
ちなみに6/19日まで、「Stool 60」90年の軌跡、という展示をしているようです。
Stool60はあまりにも見慣れていて、そして類似・コピー製品もたくさん出回っています。一見シンプルなつくりのように見えますが、本家Artek社のStool60は独自の製造方法と素材吟味のもとつくられており、スツールとしてはお値段高いですが、やはりオリジナルでしか味わえないクオリティーと質感があります。
Artek社が提供している製造の動画を見ていただくとそれがよくわかります。中でも最大の特徴は「Lレッグ工法」と呼ばれる脚です。類似品・模倣品のほとんどが合板を使用しているのに対し、Stool60は無垢材を使用しています。そして脚が曲がる部分にのみ、無垢材に細かいスリット(切り込み)を複数入れて、その切り込みに薄い材料を挟んで曲げるという特殊な構造です。デザインと強度、素材感を両立させるためのアアルトのこだわりと言えるでしょう。
アアルトはこんな言葉を残しています。
「家具の設計において、歴史的かつ実用的な観点から重要となる基本的な問題は、鉛直部分と水平部分との接続要素をいかに扱うかである」
例えばテーブルで考えてみると、鉛直要素にあたる脚部、水平要素にあたる天板をいかに接続するかが最重要という意味ですね。Stool60のデザインから90年、この重要性は全く変わっていません。常にデザイナーを悩ませますし、腕の見せ所とも言えます。(そして一番お金がかかる部分でもあります。。)
少しかたい話になってしまいましたが、「鉛直要素と水平要素の家具」たまにはこんな視点で家具を見てみるのはいかがでしょうか?