用から生まれる美
みなさん、こんにちは。&FRELの杉浦です。
8月に入りました。まだまだ酷暑がつづいていますので、みなさん体調にはお気をつけください。
先月久しぶりに韓国を訪れる機会がありました。その際、少し自由な時間が取れたので、ソウルにある工芸博物館に伺ってきました。道具として使われる、日常使いのためにつくられたものにはやはり国や地域を問わず、心を惹かれる何かがあります。
「民藝運動」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?意図したデザインや芸術ではなく、手仕事によって生み出された日常使いの雑器に美を見出した運動で、1920年代に柳宗悦によって提唱された運動です。ちなみに柳宗悦は数々の名作プロダクトを生み出した柳宗理のお父さんです。
もともと柳宗悦は朝鮮への訪問を通じて、それまで誰も顧みることのなかった民衆の日用雑器の中に美と価値を感じるようになりました。その後、今度は日本各地を回り、地域の雑器や手仕事にも同じように光を当てることになります。柳宗悦が自国日本よりも先に、朝鮮の雑器から美を見出したのは興味深いことですね。
今私たちの回りにある製品のほとんどは、多かれ少なかれ「意図的」にデザインされていると言えるかと思います。家具ももちろん意図的にデザインしている製品そのもので、デザインを全面に押し出して、その魅力や特徴を伝える努力を我々&FRELも日々行っています。
ですが一方で、「用の美」という言葉が示すとおり、道具として必要な用途を満たすために、ただかたちづくられたモノの美しさや力強さは、私たちが時代を超えて、本能的に感じてしまう美しさと魅力があるように思います。
これだけ多くのものが溢れている今、デザインすることの難しさとデザインしないことの難しさをあらためて感じさせてくれた時間でした。