家具を選ぶということ
みなさん、こんにちは。&Frelの杉浦です。
日本はここ数日、6月でありながらものすごい気温になっていますね。マレーシアは熱帯ではあるのですが、ここ最近の日本の猛暑と湿度には到底かないません。今年の夏は一体どうなってしまうのでしょうか?
Vitraの魅力
先日マレーシアでVitra製品を扱うお店がリニューアルオープンをしたので伺ってきました。Vitra社は世界に数ある家具メーカーの中で、最も名の知られた家具メーカーの一つかと思います。
オフィス家具メーカーとして、また名作イスコレクションの販売元としてご存じの方も多いかと思います。年ごとに新たに発表されるデザインは、売上の規模に比べると決して多くはないのですが、デザインやトレンドに対する影響力は大きくて、その方向性が業界のトレンドとして認知される側面も少なからずあります。一方でVitraの家具が面白いのは、どんな時代の家具を組み合わせて並べても、それがVitraブランドとして何の違和感もなく、きちんと成立することにあると思います。
デザインの実力値、ディレクションが徹底されているが故のことだと思います。
「ちょっと素敵」なショップ
移転したマレーシアのVitraショップは、古い建物をリニューアルした建築群の一角にあります。レストランやCafeがあって、アパレル、プラントショップや雑貨店など、「ちょっと素敵だな」と感じられる店舗がこの一角を占めています。
日本でも青山や代官山、表参道などに代表されるように、いわゆる「感度の高い」エリアに家具店舗を持つケースは良く見られますね。
Vitraの家具もそうですが値段は決して安いものではないですし、レストランやアパレル、雑貨店に比べれば、家具は食べたり、簡単に買って持ち帰れるものでもありません。コストやスペースを考えれば郊外に店舗を持った方が合理的とも言えます。
ではなぜインテリアショップはこうした立地を選ぶのか?私はいつもこう考えています。
家具のコレクターという人以外は、やはり家具は生活の一部であり道具です。個人用途であれ商業用途であれ、どんな空間にどんな家具を置いて、どんな暮らし方や働き方をして自身が時間を過ごしたいか?という部分が根本にはあると思います。空間や家具はひょっとしたらお金だけで解決できるのかもしれません。ですが、暮らし方や価値観、人それぞれの時間との向き合い方や過ごし方は、家具だけで成立するものではありません。家具のショールームを訪れただけでは、どうしてもその空間やモノのカッコよさ、または使いやすさや用途に引っ張られてしまうように私は感じています。
そんな時、家具以外の素敵なショップやレストラン・カフェが周りに合って、そこで時間を過ごすことで、家具とはまた違った「ちょっと素敵だな」、もしくは家具とシンクロするような「ちょっと素敵だな」を感じる時間が持てると、おぼろげながら自分が本当にいいなと思っていることやライフスタイルがわかってくるような気がします。家具だけでは成立しない思い描いているイメージや暮らし方が、様々なお店があることで少し見えやすくなるように私はいつも感じています。
多くの人にとって、一度家具を購入すれば少なくとも数年は時間を共にすることになりますし、日々の暮らしの中で人間と家具との関係は視覚的にも、日々つかう道具としても近い存在となります。&Frelも「ちょっと素敵だな」を感じてもらえる家具をこれからもつくっていきたいと思います。