家具の裏側

家具の裏側

みなさん、こんにちは。&FRELの杉浦です。

7月も近づき、日本は気温が30°を超える日も増えてきたかと思います。今年も暑い夏になりそうですので、みなさん体調管理にはお気をつけください。

本日のタイトルは、家具の裏側です。家具業界の裏側について、、、ということではなく文字通り家具(チェア)の裏側についての話です。長く家具のデザインや設計の仕事をしていると、気になる家具を見つけた時に無意識に裏側を見るようになってきます。これは私だけでなく、ほぼ例外なく周りの同業者や同僚も同じような行動を取り始めます。

会社の中だけでやっていればいいのですが、少しづつ飲食店やパブリックスペースなどでもそのような行動をとるようになってきて、慣れてくると周りの目を気にせず、なんの躊躇いもなく、家具を持ち上げたり傾けたりしてあれこれ見るようになります。

もしそのような方を見かけたら、不審な目を向けず、家具が好きな方なんだなと思ってそっとしておいてあげてください。

では家具のひっくり返して何を見たいのか?と言われると、私の場合は、ひっくり返してみるまでわかりません、、、というのが答えになります。ですが必ず何かしらフムフムと思える発見はあります。

裏側だけどとても丁寧につくっている、逆に表は綺麗だけど裏はこれくらいの仕上がりなのかといった仕上げの状態。座り心地を良くするための工夫や機能を満たすための形状、追加部品の取り付け方。部材同士をなるべく簡単に、そして一定の品質でつくるための構造デザインなど、家具の裏側にはいろいろなアイデアが詰まっています。

表に出てくるデザインは、今はweb上でほぼ世界中のデザインを見ることが簡単に見ることができます。ですが家具の裏側は、現物を目の前にしないと見ることはできません。実際の家具が目の前にあれば、多少恥ずかしくともそのチャンスを逃す訳にはいかないのです(笑)

例えばこのような発見をします。

藤編みでできた座面を持つチェアです。藤は座るとたわみますし、使っているうちに少しずつ座面が沈みます。座面中央の貫は緩くカーブしています。座面が沈んでお尻に当たっても気にならないよう、またこの抜きが藤の座面を痛めないように、こんな形状になっているのだと思います。

つづいてこちらのチェア。樹脂でつくられたチェアですが、裏側に何故か4つの突起があります。ネジが必要な構造でもないし、製造上の理由もなさそうです。しばらく考えてみて、チェアを重ねて置く際に下側になるチェアの座面に傷をつけにくくするためのデザインだとわかりました。

 デザインの主役はもちろん表面ではありますが、裏側にもこんな楽しみや発見が実はたくさんあります。そして意外とメーカーの個性や仕上がりへのこだわりが出る場所でもありますので、興味のある方?はぜひ少し覗いてみてください。公共の場所での観察はこっそりと、周りの迷惑にならないようにやりましょう。。。