価格の中身

価格の中身

みなさん、こんにちは。&FRELの杉浦です。8月に入り、日本はものすごい暑さのようですね。マレーシアの方に日本の気温を教えてあげると、南国の皆さんがびっくりしています。

先日、とある海外家具メーカーのサイトを見ていて、興味深い情報を見つけました。それは販売している家具のコスト内訳がどのようなものか?ということを見える化したもので、原価と販売価格の差異が一般的な他社・同業者に比べて少なく、正直な商売をしていますよ、、、というところをアピールする目的なのだと思います。

私が今までこの業界でやってきた経験や感覚で考えると、この表の内訳は自身のコスト感覚と比較的近いと感じます。材料費を製造原価(製造にかかるすべての費用)の50%前後、製造原価を売値の50%前後で安定して売る、メーカーとして成長していくにはこれくらいのコストと利益で商売ができれば、、、という印象を持ちます。一方でデザイナー視点としてみると、デザインロイヤリティーを8%得られるデザイナーは多くはないと思いますし、メーカーがデザインロイヤリティーに8%払うのはなかなか大変だなと。トップデザイナーのロイヤリティーですね。

私が小学生から中学生くらいだったころ(今から20~30年前です)、家具は今と比べてずっと高価なモノだったように感じます。当時は町の家具屋は問屋商売が主流でしたので、中間コストが販売価格を押し上げていたこと。また一生モノというわけではないにしろ、長い期間使うモノという位置づけでしたでしょうから、ねらいの価格帯も比較的高く設定されていたのだと思います。販売価格に占める費用の内訳は、今とはだいぶ異なっていたのだと推測します。

ニトリやIKEAに代表されるような問屋を通さず、製造から販売・流通まで行う企業が力を持ってくると、材料や生産コストとユーザーが実際に購入する販売価格の間の中間コストが少なくなります。つまりユーザーにとっては購入価格に対し、価格を押し上げる中間コストは少なく、家具本体の製造にかかるコスト割合が多い製品となり、その観点で見ればお得な製品と言えます。ただこの方式によって問屋商売は維持できなくなり、家具の低価格化を一気に進める要因ともなりました。

一方でブランド力が強い企業は、そのブランドへの価値やステイタスから、価格を高めに設定することができます。家具業界においては、浮き沈みはあるもののやはり歴史の長い企業が強く、そのブランド力とそれに裏打ちされたデザイン力や品質は、購入ユーザーにとっては大きな動機付けになります。

当たり前ですが、私たちが消費者として目にする価格の裏には、様々な費用があり、利益があり、ブランド力や会社戦略も関わりあっています。高い製品はなんで高いのか?安い製品はなんで安いのか?、少し立ち止まって考えてみるとまた違った家具選びの面白さを感じられるかもしれませんね。