マレーシアデザイナーの自邸

マレーシアデザイナーの自邸

みなさん、こんにちは。&FRELの杉浦です。

先日マレーシアのインテリアデザイナー宅を訪れる機会がありました。とても素敵で居心地の良いお宅でしたのでご紹介させていただきたいと思います。

住宅はその国の気候や風土に深く根ざし、また地域ごとの特性や文化とも絡み合うことから、実際の生活を知るという点においては一番わかりやすい場所だと思います。

日本ははっきりと四季がありますので、それぞれの季節に対応した住宅づくりをしなくてはなりません。また地震に対する対策は今や不可欠ですので、構造的な配慮も求められます。

一方マレーシアは小さな変化こそあれ、基本的には夏だけですし、大きな地震もありません。季節と地震、この二点だけを取ってみても建築物をつくる上での必要条件はものすごく大きな違いとなりますね。

今回お伺いしたお宅は、リンクハウスと呼ばれる集合住宅をリノベーションをしたお宅でした。リンクハウスとは日本の町家のような低層住宅で、横に狭く縦に長いところも町家によく似ています。隣の家と壁を共有することで、ローコストにつくれることから広く普及し、マレーシアの至る所で見られるポピュラーな住宅形態です。

では写真と共に見て行きましょう。彼のお宅はリンクハウス集合体の端部となり、片側は採光することができます。


スペース的な制約もありますが、長手面と正面のからの採光を実にうまく使っています。光をあえて制限して陰影を演出しているところなどは、日本古来の考え方に通ずるところもあるように感じました。

基本は平家なのですが、天井が高いので圧迫感はありません。段差をうまく利用して、階段自体をインテリアのように見せていますね。トップはあえて採光を制限して、時間帯によって光の入り方が変わるようにデザインしたそうです。トップライトそのものの心地よさと、壁に広がる光がとても温かみのある空間を演出しています。

限られた屋外スペースも植物と置石をうまく配置して奥行きを持たせています。内部から外を眺めた時も、これらの植物が効果的に効いています。

外部の強い光に対して、内部は採光を制限することで内外の境界を感じられる、、、これもまた南国ならではの演出と言えるかもしれませんね。いろいろと勉強になりました。