デザインの原風景
こんにちは。&FRELの杉浦です。
前回のつづきになってしまいますが、もう少し私自身についてお話をさせていただきたいと思います。
家具やデザインはもちろん大好きでいつも私の生活の中心にあるのですが、それと同じくらい、またはそれ以上に好きなのが鉄道です。鉄道車両に乗って旅することももちろん大好きなのですが、私が子供の頃から強く惹かれたのは「駅の風景」でした。今や多くの大都市の駅はエキナカと呼ばれてショッピングセンターのようになってしまい、一方で地方の駅はプレハブ小屋のような無人駅になってしまいましたが、私が幼い頃の駅の風景・イメージはもっと人間味に満ちて、特別な場所だったように感じます。
例えば映画「男はつらいよ」。寅さんの故郷柴又駅はもちろんですが、ほとんどすべての作品で全国各地での駅でのシーンがあり、そこでの出会いや別れが実に印象深く描かれています。それらのシーンはエキナカやプレハブ駅舎ではどうしても表現できない、場所の力があったのだと思います。残念ながらそうした風景は、だんだんと商業的なもの、手のかからないものに置き換えられていき、私の好きだった駅舎や鉄道のある風景も時間の経過とともに随分と無くなってしまいました。
一方でそうした流れに抗うように、しっかりと時間と手間をかけて地域に根差したデザインや風景づくりに真っ向から向き合って取り組んでいるデザイナーやプランナーの存在を学生時代に知りました。私もそういうかたちで未来に残る原風景をつくるという仕事に関わっていきたいと強く思うようになったのですが、残念ながらその道からは外れてしまって、またいろいろな縁もあって今があります。
当時の目標とはだいぶ離れてしまいましたが、家具をデザインする・つくるという仕事もやはり使ってくれるお客様の日々の風景をつくる仕事だと思います。多くの時間を一緒に過ごす道具ですので、おのずとその景色は記憶の中に残っていくはずです。&FRELの家具もそんな思いをちょっと込めつつ、お客様のライフスタイルや空間に寄り添う家具を目指して日々デザイン・製作をしています。